山の麓で!〜At the foot of the mountain!〜

山岳エンターテイナーのつぶやき

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初冬・剱岳〜点の記①〜

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みなさんこんにちは!

やまちゃんです。

 

先日、

雪の剱岳

へ行ってきましたので、そのお話を、二部構成でお楽しみください☺️

まずは前編↓↓↓

 

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前編「雄叫びの向こう側、孤高の頂きへ」

 

【2020年11月24日 火曜日】

今回のメンバーは3人

①僕(超紳士的真面目系クライマー)

②職場の後輩Yくん(クレイジー系クライマー)

③職場のパートKさん(バリエーション姉さん)

 

先月もこのメンバーで、剱岳直下・池の谷を攻めた、信頼のおけるチーム。

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【当日の行動時間】

YAMAP参照

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出発は朝の3時過ぎです。

休憩を除くと約13時間かかりました。

冬山は、先行者の有無や積雪の状況で、コースタイムに違いが出てくるのですが、「平均よりやや早い」ぐらいじゃないかと思います。

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ちなみにこの日は、

→先行者1名

→当パーティ3名

→後続2名

が入山していたようでした!

先行者のトレースを頼りに歩かせてもらってます!ありがたやありがたや!

 

標高1200mほどから雪がチラホラ積もりはじめ、1500m越えたぐらいから登山道にもしっかり雪が乗る状態でした。

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1200m↑雪はほぼ無し。

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1400m↑雪がちょっとずつ乗り始める
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1800m↑登山道上にも雪が乗ります。

 

早月小屋まではツボ足です。

一応ワカン持って行きましたけど、出番なく、ずっと背中に負荷をかけてくれてました(笑)

 

僕は通算7回目の剱岳登頂

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バリエーションルート大好きパートのKさんは、通算十数回も剱に立った地元の健脚姉貴。

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その健脚ですら、雪のトラバースや絶壁直下は「こわいこわい」と唸りながら登ってました。

 

クレイジー系クライマーのY氏は、後輩ながら経験豊富で、彼は岩と会話できます、えぇたぶん。

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この日も、迫る絶壁をモノともせず、スタスタ登ってスタスタ降ります。

若いって素晴らしい!

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早朝のスタートだったので、ナイトハイクから始まり、満天の星空と富山平野の夜景を全身に浴びながら、重たい靴を持ち上げて黙々と登ります。

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Kさんは、大股の登りになると

「あっがれぇぇぇーあがれあがれぇい!」

と雄叫びを上げながら、お尻を持ち上げます。

墜落しかけの戦闘機を立て直す操縦士のような掛け声に、士気の高さを感じます。

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余裕しゃくしゃくのY氏は、いつまでも手袋をつけず、素手でスタスタ登って、待っている間もタバコをふかしたりして、まるで近所の裏山を散歩している大学生のよう。

ここをどこやと思っとるんぞ。

つるぎぞ。

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カッコイイでしょ?↑

でもそんな彼も、山や岩と戯れることが大好きなエキスパートクライマーです。

 

二人の大きな背中を追いかけながら、戦場カメラマンばりに写真を撮りまくる僕は、置いていかれては追いつきの繰り返し。

やっぱり冬靴は重いから、スピード出ないし、あまり好きじゃない。

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早月尾根は、とにかく長い、、、

夏でも長く感じるのに、冬になると短くなる、、、わけがない。

 

劒を囲む山々が赤く燃えはじめ、空が白み始めたころY氏から、「あれが"マッチ箱"です」と教えてもらう。

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思わず、「むぁっっちばぁこぉーーっ⁉️」

と唸ってしまった。

クライマーのネーミングセンスには賛否両論ありますが、僕は嫌いじゃないです。

 

 

そうこうしてるうちに、ようやく

早月小屋へ

到着。ここまで約4時間弱。

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ここに来てやっと、アイゼンを装着します。

 

小屋に先行者のストックとワカンがデポされており、自分も置いて行こうか悩んだけど、

負荷は友達

なので、連れて行くことにします。

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しばらくは難しい箇所もなく、ひたすら登る。

もうすっかり夜明けで、快晴。

風も穏やかなので、期待に胸膨らませ、Kさんの雄叫びに耳を傾けながら、最後尾で進む。

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2600mぐらいからは、息をするのも忘れるぐらいに素晴らしい展望が広がる!

 

ここから見る立山室堂の圧倒的美しさ

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そして大日三山の美しい山容

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見るものすべてが壮観で、すでにかなりの満足感だけど、まだまだ核心はこれから。

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近付く核心部

2700mぐらいから、トラバースや直登が続き、時折露出する岩肌に、朝乃山級のガブリ寄り。

一つひとつを丁寧に越えていく。

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「こわいこわい」と唸るKさんに、「こわいですねーこわいですねー」と相槌ち、静かに見守る。Y氏は相変わらずスタスタスタスタ。

とにかく足取りが軽い!羨ましい!

 

いよいよ核心部!

Kさんの雄叫びも、10オクターブぐらい上がる!

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ルンゼやら?

カニのハサミ?やら

いろいろヤバそうなところ越えて行きます。

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さすがに腕を使わないと登れない。

ここは、アイゼンとピッケルがないと無理です。落ちたら

ワンチャンアウト

(訳:一発で死ねます)

 

このときに、先行者が下ってきました!

単独さんだ!すごい!

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おかげさまで、すんなりここまで来れました。

ありがとうございます😊

下山する単独さんを見送り、ラストスパート!

 

双斧の戦士Kさんも、迫り来る絶壁に体当たりし、雪に爪をぶっ刺しながら、Y氏の刻むトレースを、3人一丸となって進む進む。

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そしていよいよ。。。

キタキタァーーー!いつもの分岐!

ここを越えれば、そう‼️

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on the mountain top!

ついにやりました!

初冬・剱岳!

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天気も味方をしてくれ、長く険しい冒険の末、ようやくたどり着いた山頂。

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雪もほどよく積もり、頭だけがのぞく祠は、非日常感を増幅させるし、何より空気が澄んで、遮るものは何もない。

視界のすべてがくっきりと写し出され、言葉も出ないほど、美しい世界。

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言葉も出ない…ことばもで…こ…こと…ば

 

ふぅおふぅおーーぉう‼️

ひゃっほーぉーい‼️

いぇーぇーいぁっ‼️

うひゃーぁぁぁぁあああ‼️

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Kさんの雄叫びが、孤高の山頂にこだまし、モノクロの世界に吸い込まれていきます。

 

これから起こる、悲劇も知らず。。。

 

次回は、「恐怖の下山編」

みんな、楽しみにしててね!

see you next TSURUGI🏔!

 

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