山の麓で!〜At the foot of the mountain!〜

山岳エンターテイナーのつぶやき

MENU

初冬・剱岳〜点の記②〜

スポンサーリンク

みなさんこんにちは!

やまちゃんです!今日のお話は、先日行った剱岳の後半です。

山頂に着いてから、下山までの珍道中。

f:id:yamanoid:20201203232409j:image

 

 

前半を読んでない方はこちらもあわせて↓↓↓

www.xn--n9jn4194a5j7c.com

 

 

 

【絶景と絶叫・恐怖の滑落】

馬場島を出発してから約8時間

ようやくたどり着いた剱岳の頂

快晴で風も比較的穏やか

まるで「ようこそ」と出迎えてくれたような空に、思わずKさんの雄叫びがこだまする。

 

「ご飯でも食べようか。」

f:id:yamanoid:20201203232446j:image

雪が積もり丸まった山頂で、埋まる祠を背に、各々腰をかける。

 

寒いので、持ってきた防寒着を全部着ます。

僕は、もっぱら

 

 ☞ミレー:ブリザード トイフーディー

 ☞モンベル:プラズマ1000ダウンジャケット

f:id:yamanoid:20201203232515j:image

を使っています。

ミレーは、とにかく着心地が良いのと、フードがバラクラバタイプになっていて、使い勝手が良いです。寒くなってこのフード被ることを、「明太子モード」と呼んでいます。

f:id:yamanoid:20201203232532j:image

明太子モード↑

レインウェアもミレーのティフォン50000を使っていますが、ゴアテックスと違って、ストレッチ性があってほんとに着心地が良い。

 

お昼のメニュー≫≫

僕は、いつもの6個入り黒糖ロールパン。

圧縮すると小さくなるし、カロリーが高いので、いつもこれを食べています。

行動時間の長い山行では、カロリー重視の食事を摂っていますので、僕はひたすらパンをむしゃむしゃ。。。

Kさんは、サーモスに入れたお湯を使って、カップラーメンを食べています。

「麺を口に入れるまでに、麺が冷めてしまうぐらい寒い」

と言いながら、すすっています。

f:id:yamanoid:20201203232630j:image

そう、まだまだ初冬と言え、高度3000mは、すべてが凍てつく世界なのです。

Kさんの厚着スタイルは、行動時の2倍ぐらい膨れ上がっています。

 

プシュッッッ

 

山頂にこだまする音に目をやると、Y氏がビールをグビグビグビグビ流し込んで、「ぷはぁー」って、ひと仕事終えた後みたいな、いい顔してやがります!

f:id:yamanoid:20201203232720j:image

まだ下山があるのに、ここでビールなんて、やはりタダモノではない。

彼は、クライミングのときも、グビグビやっています。頼むから、「下山中にフラつかないでね」と伝えると、部活の後輩のようなノリで「うっす」と言って、2本目を開けました。

ちなみに、彼はランチにお菓子食べてました。

f:id:yamanoid:20201203232801j:image

【第一の事件勃発】

ここで最初の事件が起きます。

ご飯(おつまみ)を食べ終えたY氏は、いつものノリで山頂で、タバコに火を付けようとしますが、彼の持ってきた電子式ライターは全く付きません。

そこで、僕が持っているフリント式ライターを貸してあげました。

f:id:yamanoid:20201203232832j:image

こんな感じで、風除けのために体を目一杯丸めて空間を作り、着火ファイヤー。

なかなか付かないまま、手元にガスが溜まり、火を付けた瞬間、

ファイヤーァァァアアァアーッッ

と、プリンセス天功もビックリの火柱が上がり、Y氏の眉毛とまつ毛を焦がしました。

彼は、剱の神の怒りに触れたのです。

 

【第二の事件はすぐ起きる】

「そろそろ行きますか」と身支度を始めたおり、Kさんが帽子を被り直すために脱いだヘルメット。「よいっっしょっと!」とお尻を持ち上げ立ち上がった瞬間、ヒップにアタックされたメットが、「カラカラカラ〜」と乾いた音を立てながら、Kさんの絶叫とともに剱岳の斜面を滑り落ちて行きました。

我々は、なす術なく、いつまでも止まない落下音に耳を傾けながら、池の谷は吸い込まれる影を見送ることしかできませんでした。

f:id:yamanoid:20201203232908j:image

ぴえん😭

≫≫あれが人でなくて良かった。

本当にそう思います。

ヘルメットは、身代わりになってくれたんだ。そう思うようにしよう。

と気持ちを落ち着かせ、谷の塵となったメットを、来シーズン回収しに行くことを誓うのでした。

皆さん、滑落は本当に怖いです。滑落経験者の僕が言うので、間違いないです。

 

お暇なときに読んでみてください。↓

www.xn--n9jn4194a5j7c.com

www.xn--n9jn4194a5j7c.com

 

【行きは良い良い、帰りは怖い】

いざ下山を開始すると、

あれ?ここ、こんなに斜度あったんだ!

と思うほどの絶壁が続きます。

Kさんは、「こわいこわい」と雄叫びを上げながら、前足と後ろ足の爪を巧みに蹴り込み、バックステップで降りて行きます。

f:id:yamanoid:20201203233528j:image
f:id:yamanoid:20201203233531j:image

クライマーのY氏は、高所と斜度の感覚が、よほどバグっているようで、前向きにスタスタと降りては、先回りしてKさんの下に着き、補助しています。

親子ほど年の離れた二人の息の合った降下を、微笑ましく見守りながら、僕は適度にサボり、体力を温存します。

 

Kさんの恐怖の感覚もバグり始め、登りで怖がって雄叫びを上げていたトラバースも、無言でスタスタスタスタ。

人間とは、進化する生き物なんですよね。強い。。。

そんなこんなで、やっとこさ早月小屋に戻ってきました。

ここまでくれば、ホッとします。

f:id:yamanoid:20201203233619j:image

下山中お二人の方にすれ違いました。

よく見ると、Instagramでフォローしてる方でした👍

インスタで、かなり有名人なので、検索してみてください!

素敵な写真とクレイジーな山行が魅力の、バケモノ系クライマーです🤣

相方さんを引き返させて、自分だけ山頂を撮りに行く鬼畜ぶりを発揮してましたが、とにかく速い!

引き返し中の相方さんにも挨拶を交わしながら追い越しましたが、お二人も無事下山されました。

https://instagram.com/raicyou_p?igshid=1bmi8l1w3x9e1

https://instagram.com/hanapecha_tengu?igshid=1xsrsz51x62y8

 

【第三の事件勃発】

KさんY氏が、早月小屋でアイゼンを外すと言うので、自分も流れに従って外しましたが、そこからの下山も結構滑る箇所があり、自分的には、滑ってケガしそうでヒヤヒヤしてました。

二人はスタスタ降りていきます。

本当にタフだなぁと思いながら、雪の着いた登山道を慎重に降ります。

 

雪がなくなり始め、やうやく下界が近づいてきたなぁと思っていた矢先、Kさんが

「ぁわぁぁ〜ズドンッ!」

と絶叫しながら、濡れた木の幹に足を滑らせ、転倒しました💦

このときは、漫画のようなど迫力のコケ方に、僕もかなり焦りましたし、Kさんもかなり痛がっていました。

後で聞くと、思い切りついた左手首の骨に、ヒビが入っていたらしいです。

アイタタァ😭

 

先頭を歩いてたY氏は、ものすごい雄叫びと転倒音に

「熊が出たかと思ってビックリしました。」

と言っていました。

 

僕も左足の小指が靴擦れし始め、痛いなぁと思っていたら、Kさんも「膝痛いし、小指が靴擦れし始めた」「そりゃこんなカチカチの靴履いてたら、足も痛くなるわな」と言ってましたが、まさにその通りだと思いました。

13時間もカチカチの靴履いてりゃ、足も痛くなりますわ。

 

と松尾平をすぎ、もうすぐ馬場島だぁ〜と安堵しながら、ふと先頭のY氏に目をやると、なんとスマホをいじりながらスタスタ歩いてました。

なんというか、今どきの若モンは、すごいですよほんと!ポテンシャルがヤバイ!

f:id:yamanoid:20201203233804j:image
f:id:yamanoid:20201203233808j:image

【下山あるある】

いつもで下山中に思うことがあります。それは、

「長い。。。」

登山道、伸びたんじゃないの?って思うぐらい下山って長く感じますよね。

下山あるある。

 

なんとかそんなあるあるを抜け、やっとこさ「試練と憧れ」馬場島に下山。

全行程約14時間。

行動時間13時間。

夏の倍近くかかりましたが、素晴らしい景色と達成感を味わえました。

 

剱岳周辺の山域は、冬季になると、富山県の条例によって規制がかかります。なので、厳冬期に剱岳山域へ入山する際は、富山県警への届け出と許可が必要になりますので、お気を付けください。

富山県登山届出条例

 

厳冬期剱岳!

聞けば、背の高さほどの雪の壁をラッセルして越えていくのだとか。。。

ロマンは尽きませんが、命だけは大事にしたいと思います。

今回も、無事に下山できたことに感謝して、また次のお山に向かいたいと思います。

 

 

SEE YOU NEXT MOUNTAIN⛰