山の麓で!〜At the foot of the mountain!〜

山岳エンターテイナーのつぶやき

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チャリミネンコとハイジ尾根〜北アルプス・薬師岳〜

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先日のお話。

ふと富山市内から立山連峰を眺めて、思い耽っていたとき、真っ白く巨大な山塊を見て、

「あっ、今年はまだあそこに行っていない」

と思い立ったので、あそこへ!そう

雪の薬師岳

に行ったお話。

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【長い長いアプローチ編】

アプローチはチャリミネンコ?

雪の薬師岳に行くためには、飛越新道から北ノ俣岳に乗り上げるルートが一般的?だが、どうやら春スキーを楽しむ山スキーヤーたちは、チャリでキコキコと未開の有峰林道をアプローチするらしい!

そして、それをチャリミネンコと呼ぶらしい!

 

チャリで有峰湖!そう!

チャリミネンコぉぉぉ!

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ハイジ尾根との出会い

ルートを調べていると、見慣れないキーワード。目に飛び込んできたのは、そう!

ハイジ尾根ぇぇぇ!

なんじゃそりゃ!!!

どうやら積雪期限定のルートらしく、折立〜太郎平までの尾根を、五光岩ベンチ辺りで、岩井谷というところに降り、そこからハイジ尾根に乗り上げると、なんと薬師岳山荘に直接繋がるらしい!

地形図を眺める。ふむ。たしかに行けそうだ。

しかもスキーで滑ったらめちゃくちゃ気持ち良さそう。。。

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しかし今回は、単独行。

アラインゲンガーの僕は、安全第一を考え、スキーよりも安全かつ得意分野ののツボ足超人で向かうことを決意。

 

ママチャリで行く有峰林道

借りたママチャリでキコキコと。

スタートは、4月10日  23:00

当然ながら、真っ暗だ。星明かりはあるが、暗い。ヘッデンの範囲しか見えない。

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有峰林道にはいくつかトンネルがある。

当然真っ暗。何も見えないし、驚くほど不気味だ。オバケとかあんまり怖くない僕でも、ちょっと怖いぐらい。

そして何より、

基本的にずっと上り坂。

最初は真面目にママチャリを漕いでいたが、立ち漕ぎしないと進めないほどの斜度もあり、「これ押して歩いても変わらなくね?」と思い、立ち漕ぎの場所は押して歩くというマイルールを追加。

なんせ20kmもある有峰林道。

この日は11kmほど先にある小口川線との分岐まで除雪されていた。

ここに自転車をデポし、林道は通らず、新折立トンネルまで雪の付いた沢沿いを直登する。

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【ここから本番ハイクアップ編】

折立までの所要時間 4時間半!

この時点で心はバキバキと音を立てて折れまくっていたが、綺麗な星空を見上げて気持ちを奮い立たせ、いよいよ尾根にアタックをかける。

とりあえず、どこからでも直登できるので、ガシガシ登って標高を上げる!

 

アラレちゃんと五光岩

一心不乱に登りあげ、気が付けばみんな大好きアラレちゃん。

真夜中に突然現れた「んちゃ!」は、さすがに怖かった。ぜんぜん可愛くなかった!

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尾根に乗り上げ、眼下には富山平野。

五光岩ベンチに着くころには、もうヘッロヘロで、うっすらと夜が明け始める。

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しかしこの時点でもう。もう。もう。

 

美しい🤤最高か!

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パシャパシャと写真を撮りつつ、岩井谷はトラバース気味に標高を落とし、いよいよあそこが噂の!

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初めましてハイジ尾根!

ここで夜明けを迎えたが、美しすぎて美しすぎて、すげー!とか、やべー!しか言葉が出てこない。(語彙力を奪う美しさ)

谷からグッと直登するとそこはもうほんとに広大な雪原の尾根!

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ハイジ尾根とはよく言ったもので、クララが立っちゃいそう!

いや、こりゃ立つわクララ!

そしてさらにハイジ尾根よりさらに一本北の尾根を登りあげ、薬師岳へアクセス!

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念願の雪薬師!

美しすぎて、ここでも

すげーやべーすげーやべー

を連呼!

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見渡す限りの絶景で、息をするのも忘れそうなほど艶やかで美しい。

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4月と言えど、北アルプスはまだまだ冬。

雪を被った稜線が、水墨画のように芸術的で。

もう。ほんとに。すげーやべー!f:id:yamanoid:20210515210558j:image
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名残惜しいですが、安全登山のために長居は禁物なので、早々に下山。

くぅーなごりおしぃー( ;  ; )

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【下山は爆速チャリミネンコ】

そんなこんなで、雪の薬師を有峰林道から制したわけだが、帰りのチャリが爆速で、苦労してチャリミネンコして本当に良かったと思いました。なんせ帰りはデポのポイントからわずか30分弱!数時間かけても、チャリミネンコした甲斐があったってもんです。

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【今回の所要時間などなど】

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【雑感〜悠久の古道・太郎道について〜】

その昔、まだ遠くない昔、有峰湖のそこに村が沈む前のお話。

薬師岳信仰が盛んであった有峰の集落民が、登拝のために使った「太郎道」なるものが存在したらしい。

そして集落は、有峰ダムの建設とともにダム湖に沈み、解村となり、村の集団登拝も行われなくなった。そして折立道も開通し、いよいよ太郎道は忘れ去られた廃道と化し、今では明確な位置も定かではないとのこと。

この悠久の古道を、なんとか再興できないものかと、密かに企みを抱く今日このごろなのです。

 

to be next KODO.