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完走レポ:沖縄本島1周サバイバルラン2024

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昨年リタイアし、今年こそと意気込んで臨んだ

「沖縄本島1周サバイバルラン」

を完走したので、記念と備忘録の意味を込めてレポートを残しておきます。

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通称「沖サバ」に足を突っ込んで

端的に言うと沖縄本島をぐるっと1周するウルトラマラソンだ。

距離:390km(なので約400kmと表現)

制限時間:72時間(まるまる3日間)

チェックポイント(以下CP)に関門が設定されているので、単純に1日130kmずつ走れば良いかと言うと、そうでもないのがこのレースの特徴まずは結果から

65名が出走して、18名完走。

僕はというと17位。

完走率は約27%

「沖サバ」というコンテンツを知っていて、エントリーする実力があって、それなりに練習して沖縄まで乗り込んできた人の「3人に1人しかゴールまで辿り着けない」のも、沖サバの特徴。

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沖サバ2024のコース

今回は、大雨と台風の影響でまるっと1周というわけではなく、CP3:辺戸岬(160km)の少し先から折り返しで西岸をピストンし、233km辺りから東岸(辺野古方面)にトラバースする特殊なコースとなった。

累積距離が7kmほど減り、やんばるの森を通らないコースで「若干パンチが薄くなった」と囁かれてたが、結論をいうと「楽な沖サバなんてない」って感じ。

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今回の天候とコース状況

台風が近づいている影響もあって、スタート直後から湿度MAXの蒸し暑さと、土砂降りの雨。

天候に左右されやすい完走率や完走者のタイムなどからも、決して楽なコンディションではなかったことがおわかりいただけるかと思う。

いやめっちゃキツかったですよマジ!

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豪雨と曇り、晴れの繰り返しで体感がコロコロと変わり、夜の雨は寒いと感じる場面もあった。

CP4:海中道路あやはし(290.5km)を過ぎてから、激しい雷雨と海中道路の爆風で体感がかなり冷え、着ることはないと思いつつ念のため用意しておいたレインウェアを、上だけ羽織った。

と思えば、1時間ほどで雨は止みカンカン照りの陽射しにやられ、この区間は長い間歩き倒した。

以下、細かいレースの振り返りに入る。

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レース状況

スタート〜CP2:77km(関門12時間)

スタートからかなり蒸し暑かったものの、なるべく貯金を作りたくてそれなりのペースで進み、42kmをサブ5、77kmのCP2へは9時間半ほどで到着。

サウナ状態のコースに、すでに熱中症でグロッキー気味の人もチラホラいたが、全体的にペースが早いらしく、なんとなく「早く進まないとな」という気分になり、少し休んですぐ出発。

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CP2〜CP3:辺戸岬160.3km(関門24時間)

とりあえず一晩を越えたが、夜中は前が見えないほど雨が降り、浅瀬を走っているような感じだった。

僕は荒れた天候が好きなので、むしろテンション上がってラッキーだった。

一方で、思うように走れない路面と眠気でふらついている人も居て辛そうだった。

 

かくいう自分も、120km辺りから少し胃腸が気持ち悪くなり始め、思うように物が食べられなくなってきた。

このあとずっと胃腸トラブルを抱えながら進むことになる。

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辺戸岬の寸前で、あろうことかコースロストした。

沖サバ経験者なら「何故そこで」と思うかもしれない。昨年は逆サバで、ここまで到達していなかったことも大きい。

左折してCPに寄ってから進むべき道を、CPに寄らずに直進してしまった。

CP通過後の人につられてしまったのが原因で、僕はCPに寄らずに1.5kmほど頑張って坂を登ってしまった。

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たまたまIBUKIのGPSを見ていた彼女から、

「ロストしてるよ」

と電話がかかってきて気が付いた。マジ神!


そこから爆速でCPに戻ったので、時間内にリカバリーできた。

ロストに気が付かなければ絶対に完走できていないのは明白。彼女マジGJ!感謝!

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CP3〜CP4:海中道路あやはし(290.5km 関門48時間)

このレースの完走を左右する関門、それが48時間と言われている。(だよね?)

まるまる2日間で290km、この関門を突破すれば、完走が見えてくる。

とにかく昼間は暑過ぎて、胃腸トラブルも引きずってるし、体温が上がると吐き気がするのでずっと歩き倒していた。

夜になって比較的涼しくなってから、走ったり歩いたりを繰り返したものの、さすがに眠気が堪えられなくなったので、コンビニで30分ほど寝落ち。

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起きたら、頭が少しボーッとしてて

「あれ?なんでここにいるんだっけ?」

と一瞬ボケた感じになった。

そして足が痛すぎて

「あれ?どうやって走ってたっけ?

と、走り方を全く思い出せなくなった。

まだ「産まれたての子鹿」の方がマシなレベル。

またちゃんと走るのにけっこう時間がかかった。

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あと海中道路が見えてから、CPまでの距離を少し勘違いしていて「けっこうギリギリやな」と思って出力高めで走ったら、だいぶ脚を使い果たしてしまった。

ここで「死にかけの老鹿」に成り下がる。

CP4には、47時間ほどで到着。

まだ時間に少し余裕があった。

15分ほど寝て、スマホ充電したり時計充電したりして、いろいろと整えてからスタート。

 

このCPではゆっくり休んでる人もいるし、なんならシャワー浴びてる人もいて「終わり感」がめっちゃ漂ってるが、全然終わらねぇ。。。

 

なんやかんやまだ100km近く残ってるのが沖サバの「えげつねぇ」ところで。

心なしか出発する人も、悲壮感がすごい。

イヤイヤ残す100kmのラストジャーニーへ出発。

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CP4〜FIN(383.5km)

あと100km弱を24時間で走れば良いので、少し気持ちは楽になっている。

とはいえ先は長い。

いつか着く!(いつ着くねん)

とにかく脇ズレが痛すぎて、CPを出発してすぐに海中道路端のローソンにピットイン。

1番デカイ「傷パワーパッド」を購入し、トイレの鏡を見ながら貼ったけど、あまり効果なし。

 

トイレから出てきた外国人に、

「 May I help you?  (なんか手伝おか?)」

とすごい顔で心配され、去り際に

「 God bless you.  (ほなお大事に)」

と言葉をかけられてホッコリも束の間。

めっちゃ沖縄っぽい「えげつねぇスコール」に見舞われて全身ドボドボに。

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雨はすぐに止んだ代わりに、灼熱の陽射しが。

走ると体温が上がって気持ち悪いので、内臓を休めるために一切飲み食いをせず、明るいうちは5時間ほど歩き倒した。

この「胃を空っぽにして休ませる作戦」はけっこう効いた。

(最初はオェオェ言いながら歩いてたけど)

ずっと歩いてるからカロリー使わないし、この作戦はアリ寄りのアリ。


平屋敷辺りから海沿いの道を歩いているときに、虫に刺されまくった痒み地獄!

他の選手にも聞いたけど、誰も刺されておらず、自分だけだった。

歩いてても刺してくるアグレッシブなやつで、ピンポン玉並みの水泡ができていて、1週間経ってもまだ引きずってる。

歩くのが遅すぎたのか、にしてもこんな頑張ってる人間を刺すなんて酷ぇやつだよまったく。

人の心がない!(虫に対して)

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夜になってから坂道のアップダウンも激しくなり、走ったり歩いたり。

 

途中、沖サバ6回を全て完走している猛者

「カトルス選手」(マジの猛者)

がバス停で休んでいて、ちょうど出発するところだったので、パックで進む。

以後はゴールまで、このケツ擦れが痛くて悶絶している特級呪物的異次元ランナーとデートランすることになる。

今回も完走したので7戦7勝。すごすぎ。

 

余談だが僕は昔、月間1,400km走ったことで富山でチヤホヤされたことがあるが、カトルス選手は月間3,100km走ったことあるらしい。ヤバない?人間なの?

レベチすぎて、1,400ぐらいで自慢してた自分が小っ恥ずかしくなり、その話は1秒もしなかった。

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7時間ほどずっと歩き倒しながら、間に合う時間を2人で計算し合い、後続のランナーの奮闘を気にしつつ、ずっと良いペースで歩き倒した。

那覇の市街地入り、高架に上がる場所や信号を渡るタイミングなど、ほぼカトルス選手にアテンドしてもらい、おんぶにおんぶだった。

ありがとうカッちゃん!

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FINISH〜その後

71時間52分で、フィニッシュ!

完走者18名/17位

ラストランナーでのフィニッシュだったが、ウェーブスタートの関係で順位繰り上がり。

最終的な走行距離は、396kmになっていた。

ロストもしたし多少の誤差はあると思うが、約400kmのレースを完走して、達成感もひとしお。

アドレナリンがドバドバ出過ぎて、涙は出なかった。

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疲れていて、ゴールしてすぐ着替えもせず、預けた手荷物も受け取らず、公園の東屋の下で横になったら、2秒ぐらいで気絶した。

起きたら1時間半くらい経っていて、もうみんな撤収していて2,3人しか残っていなかった。

優しい人が僕の荷物を預け場所から運んでくれていたけど、意識朦朧としていてちゃんとお礼を言えていたかどうか。

 


完走後の体調

震えが止まらない。カロリーが足りない。

沖縄の快適な気温の秋空の下、体温を上げられるほどカロリーがなく、ガタガタ震えながらコンビニで買ったおにぎりを頬張り宿へ向かった。

見た目ほんまただのヤク中のヤバイ奴ですわ。

シャワーを浴びてまたすぐに気絶した。

当然ながら、足が痛くてよく眠れなかった。

マメは思ったより出来なかった。

 

脇ズレはめちゃくちゃ痛かった。が、

「人間は強い痛みを1箇所しか感じられない」というのを聞いたことがあったので、脚の痛みを忘れるために脇の痛みを生かしておいた。

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大体こんな感じで僕の沖サバ2024は幕を閉じた。

 

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補給について

ジェル系は、サポートいただいてる

●福壽堂秀信:さらっと飲めるようかんANDO_

だけ持って行った。

カロリーメイトやパンにも塗れて、追いカロリーできるし味変にもなるところが良い。

ゴール後にもカロリー補給で飲んだ。

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あとメダリストの営業さんに「めっちゃ効く」と言われて持って行った

●メダリスト:スーパーメダリスト9000

これはマジでめっちゃ効いた。

高いけどめっちゃ飲んだ。マジで脚が軽くなって、ほんとメダリストGJでした。

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その他は、とにかく荷物は軽量化したいけど、しっかりアミノ酸やタンパク質を摂りたいので、粒やタブレットタイプのサプリを多めに持って行きました。

●アミノバイタル:アミノプロテイン カシス味

●スタミナスポーツ:カツサプ

●リブートスタイル:UTAサプリ

写真なくてごめんなさい。
あとはコンビニのリアルフード中心。

 


胃腸トラブルの対処法

120kmぐらいから「ちょっと気持ち悪いなぁ」って感じでしたが、180kmぐらいから吐き気。

固形物を摂ると吐きそうなので、コンビニで買うお粥と味噌汁中心に補給。

290kmの関門すぎてすぐにコンビニで補給してからは、5時間ぐらい何も食べず。

ほぼ飲み物も飲まないという時間を作って、胃を徹底的に休めたら、なんとか気持ち悪さも治ってきて、物が食べられるぐらい回復。

 

基本的にお粥と味噌汁、飲み物は何故かミルクティーだけガブガブ飲めるので、ラスト100kmはほぼミルクティーオンリーで乗り切った。

昨年、クイーン様(関西のすごい人)に教えてもらった「吐くなら食べなきゃいい」を実践して、けっこう上手くいった感じ?

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使用ギア

●ザック

サロモン:アクティブスキン4

とにかく荷物を軽くしたくて、4Lのトレランザックを使用。

前後の荷重のバランスを良くすればほぼ揺れないので快適。

体型的に肋骨が出ていて、ボトルポケットが肋に干渉して痛くなるので、ポケットの真ん中辺りを縫い付けてボトルが高い位置で止まるように細工した。

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●シューズ

アシックス:ゲルニンバス26

クッションが良い。反発のバランスも良いので採用。

ピッタリめのサイズを選んで、靴紐を外す。

脱ぎ履きがしやすくなり、靴紐を結び直すわずかな時間も短縮できる。

走っているとパタパタするので、足首側だけ紐を取り付け。

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●ヘッドライト

ペツル:アクティックコア

3回夜を越えないといけないので、乾電池と充電池をハイブリッドで使えるモデルで。

ヘッドバンドを改良して軽量化。

山の感覚で「とにかく明るいものを」と思っていたけど、ロードなのであまりこだわらなくても良いかも。

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●アスリートウォッチ

カロス:VERTIX2

IBUKIのログを入れてナビゲーションを起動。

計測しながら、途中30分ほど充電。

72時間止めることなくまるまる記録して、ゴールした段階で電池残量35%

電池の持ちがかなり優秀。

ナビゲーションは良かったけど、反対車線とか走るだけで「コース離脱アラート」鳴るのがめっちゃあって、少し気に障ったので、あれなんとかならないかな。

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●ウェア

Tシャツ:サロモン・CROSS RUN SS TEE

ショーツ:サロモン・CROSS 7 NO LINER

インナーパンツ:インナーファクト・シームレスインナーパンツ

ソックス:インナーファクト・ラミー靴下

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ウェアはとにかく乾きやすいものをチョイス。

ショーツはインナーファクトの「変態パンツ」と合わせたかったから、インナーのないものを選んだ。

ソックスはいつも履いてるラミーソックス。

乾きやすくてストレスも少なく快適。

少し硬くなるので好き嫌いはあるかもだけど、このソックスに出会ってから、ロングレース靴下問題はほぼ解決したと言っても過言ではない。

 

 

 

仮眠について

ほぼ寝てない。

36時間ぐらいは一睡もしてない。

さすがに2日目の晩は眠たくて、コンビニで30分ほど寝落ちたが、起きたら足が痛くてしばらく走れなかった。

あとCP4(290km)で15分、途中のバス停2ヶ所で15分ずつ。

トータルでも1時間15分ほどしか寝てない。


終盤は意識も朦朧としてきたので、可能ならもう少しまとまった睡眠をとった方が良かったかな。というのが反省点。

ただ、寝ると脚が固まってめちゃくちゃ痛かった。

寝るたびに漏れなく「産まれたての子鹿」発動!

 


めちゃくちゃ幻覚を見た話

睡眠時間が少なかったので、終盤はめちゃくちゃ幻覚を見た。

とにかく看板、標識、ポールなんかは全部人間に見えた。

 

魑魅魍魎が跋扈していた!

ちみもうりょうがばっこしていた!

 

揺れるヘッドライトに照らされて、看板がシャドーボクシングしてる人に見えたし、音は聴こえないけどサックス奏者まで見えた。


街路樹の上には猿が座っていて手招きしていたけど全て木の一部だったし、シーサーみたいな小さい構造物は小さい人間に見えた。

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3日目は昼間でも幻覚のオンパレードで、前の選手を追いかける心理が現れて、あらゆる物が選手に見えた。

デッカイ牛を引いているおっちゃんが居たので、「ヤバイ幻覚だ」と思ったら、本当に牛を引いていた。

水牛かな?今思えば、めっちゃ沖縄っぽい。

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来年の沖サバについて

来年もまた出たいか?

と聞かれると、今は1mmも出たいと思わない。

達成感は半端ないけど、本当に辛かった。

ただ来年は優先エントリーができるし、昨年の逆サバ・今年のイレギュラーコースといい「ちゃんとした沖サバ」を完走していないので、来年も出るかなぁ…といった感じ。

何やら来年は「沖サバMAX」なんていって、距離が少し伸びるとか伸びないとか…

 

最後に(感謝)

今回もたくさんの方に応援いただき、本当に感謝しかありません。

こういうエクストリームなレースやチャレンジは、何かを犠牲にしないと絶対にやり遂げることはできません。

『感謝』という気持ちがなければ、完走などできるわけもない。

今回も応援の力を感じ、感謝の気持ちを「諦めない」というモチベーションに変えて走り続けることができました。

辛いときも、応援してくれるみなさんの顔を思い出し、諦めずに最後までやり遂げることができました。

この場を借りてお礼を申し上げます。

本当にありがとうございました。